退蔵院

花園 退蔵院

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京都・花園 退蔵院
花園の丸太町通りから妙心寺前の交差点を北に上がればすぐに南門に突き当たりますのでそれを右折すれば100mくらいで左手に大きめの無料駐車場があります。

期待していた山水画の始祖といわれる如拙の傑作「瓢鯰図」。小さな模本しか展示されていません。がっかりです。掲載している絵はパンフレットの写真をスキャンしたものですが、これとほとんどかわらないくらいにしか見えません。

「瓢鯰図」というのは瓢箪の中にどうやって鯰を入れるかという禅問答を画にしたもので、のらりくらりして捉えどころのない人のことを喩えるのだそうです。
狩野元信の築庭によることから「元信の庭」の名を持ち、史跡名勝として指定されている枯山水庭園です。それほど広くはない庭ですが、巨石がバランスよく配置されて落ち着いた安心感を与えてくれます。
南側の広めのやはり枯山水庭園は広縁からゆっくり臨め、初老のご夫婦がずっと眺めておられましたが、構図的に私には全く面白みが感じられません。


反面、入り口の数株の土耳古桔梗が凛として我々を迎えてくれる回遊式庭園「余香苑」は素敵なものでした。紫陽花や枝垂桜の通路を通り過ぎると眼前が開け、右手に水琴窟の表示が見えます。草花に隠れるような蹲(つくばい)は水琴窟の体をなしており、手水を使うと高く清らかな残響が耳に届きます。ここで蹲とはどのようなものかを簡単に説明しておきますね。

茶道で食事(懐石)を伴った正式な客のもてなし方を茶事と言います。その茶事の始め、招待されたお客様は待合と言うところで腰をかけて待っています。やがて銅鑼のボーンという小さな低い音が響きます。それがどうぞお入り下さいという合図で、正客を先頭にして順に草木の間の狭い路地を通り抜けてと茶室の手前の蹲に出ます。

蹲とはそこでお茶室に入る前に、心身を清めるために手を洗い、口を漱ぐ目的の低く配した手水鉢(手洗いの鉢状のもの)のこと、あるいはその手水鉢に役石を配した設備全体のことをいいます。蹲る(蹲う=つくばう)ところがその名の由来です。
手を洗い、口を漱ぐといってもほとんど形だけのことで、実際は杓ですくった少量の水を交互に両手にかけた後、片手で水を溜め、口に含んで吐き出します。その後、茶室の躙り口(にじりぐち)から席入りします。

多少でも茶道を心得る方なら大きな茶席の下に並べられる露地下駄も水琴窟の余韻に風雅さを添えることでしょう。

一番奥の待合になる藤棚下からは四季を通じて、梅、椿、紫陽花、花菖、蓮、桔梗など六十種もの茶花が咲き誇る庭園が一望できます。初夏の小糠雨に生気を放つ花々を見ていると、静寂の中に得も知れぬ力強さを感じました。

ただ、とても眺めの良さそうな池を見下ろす東屋が、立入禁止にしてあるのはどうも納得がいきませんでした。
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