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季節折々に咲き誇る京都の花は数多くの
社寺の見事な庭園や市井のあちらこちらで楽しめます。
観光客だけでなく地元の人たちも幾度となく訪れる
冬の京都の花の名所をちょっとした花の
お話も交えてご紹介しましょう。
花の見ごろの時期を12ヶ月に分けていますが
あくまで平均的なもので年によっては気候状況などの
影響で大きく変動する場合もあることをご承知下さいね。
冬に咲く花の種類はあまり多くはありませんが
梅の蕾が膨らみかければ、京都の底冷えの中に
まもなく春の訪れを感じられるようになります。
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随心院の梅 |
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詩仙堂の山茶花 |
【12月】
山茶花
さざんかを想うとき、詩仙堂の小有洞の門前の
樹齢400年ともいう白い巨木が
まず筆頭に挙げられます。
石川丈山の手になる、質実で風雅な感性を後世まで
残した庵に舞い降りる雪の白さが心を和ませてくれます。
純白のバラの花びらのような珍しく美しい品種のサザンカが
植えられているのは、太田垣蓮月尼が晩年を過ごした
神光院ですが、天龍寺、龍安寺、寂光院、
神泉苑などあちらこちらで見かけることができます。
【1月】
蝋梅(臘梅)
花が蝋細工のようだからとか臘月(旧暦12月)頃から
咲くからとか言われますが、バラ科に属する
梅の仲間ではなく全く別種のロウバイ科の植物です。
京都きっての梅の名所、北野天満宮では
梅に先駆けてすがすがしい香りをあたり一面に振りまき、
高台寺円徳院でもその清らかな香りを味わうことができます。
千両・万両
パッと見は同じでも葉の下に赤い実をぶら下げる
マンリョウと葉の上に実をつけるセンリョウで
容易に見分けがつきます。
精進料理で梅湯に始まる「小豆粥の会」が毎年1月に
催される妙心寺塔頭・東林院では、庭で小粒の
朱の実が苔と葉の緑に映えています。
大徳寺高桐院、詩仙堂、実光院などでも
12月上旬から1月下旬まで見頃が続きます。
【2月】
梅
菅原道真の命日25日に上七軒の芸妓が野点を
するなど盛大に催される梅花祭をはさんで
2ヶ月間咲き誇る北野天満宮。
京都でも指折りの古池を持つ勧修寺の「臥竜の老梅」、
3月中旬以降が満開ですが小野小町の住居跡といわれる
随心院の「はねずの梅」は醍醐で是非とも
鑑賞していただきたいものです。
嵯峨・清涼寺の「軒端の梅(和泉式部ゆかりの梅は
東北院にある方です)」や一重、八重、白、紅とさまざまな
梅が咲き誇る大原野・正法寺、遅咲きで知られ弘法大師像を
本尊とする西賀茂・神光院にも足を伸ばしてください。
早春に哲学の道を散策されるなら大豊神社の
枝垂れ梅を見逃さないようにしましょう。
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北野天満宮の蝋梅 |
東林院の万両
東林院の千両 |
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