常照皇寺

洛北 常照皇寺

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桜と紅葉の常照皇寺

大きな駐車場の入り口で「寺にはトイレがないので駐車場のを使って」という立札が目に飛び込みます。駐車場の奥のトイレは男子用便器は大小それぞれ1個、女子用は2個と身障者用1個(女子用は見てません。妻よりの報告)しかなくて、よく見たら「京都府管理」と書いてあります。お寺は管理してないんやね

秋の気持ちのよい木漏れ日の中、山門から勅額門へと緩やかな幅広の石段を上がると右手に干上がった池があり、そこから狭い急な石段を上がるとすぐにお寺があります。
庫裏が入り口になっていますが、拝観料というものはなく、おじさんがぽつんと坐っているだけの受付には「志しを300円から500円」と書いてあります。いくらがいいですかと聞くのもどうかと思い、1000円札を出したら2人分で400円のお釣りをいただきました。
広い方丈も全て開けっ放しで建物自体は見るべきものはありませんが、奥の庭の眺めは素晴しいものです。池からせり上がるような山が全山カエデの木々に覆われていますので、紅葉すると真っ赤に燃える山がそのまま庭になります。

今回は紅葉前に行ったので、ごく一部の樹が色づき始めたくらいでその見事さを味わうことはできませんでしたが、庭の右手に上品な山茶花の白い花を目にし、また裏山の自然散策路では、檜の得も知れぬよい香り(ヒノキチオールというものでしょうか)のフィトンチッドに包まれ、とても癒された感じがしました。
庫裏からその自然散策路へ向かうくぐり戸を抜けると正面に山芍薬が一輪あって、ちょうど真っ赤なサヤの中の黒い種子がはじけたところを写すことができました。7月頃に白い花が咲き、11月頃に実が弾けるのだそうですが、とても目立っていておもしろい植物です。
方丈前の一重と八重が一枝に咲くという「御所返しの桜」、そしてそれに続く、国の天然記念物に指定されている枝垂桜の「九重桜」は春には絶対訪れたいと感じさせるほどの幹の太さと存在感を呈しています。
お寺といえば普通はお釈迦様や観音像などが仏堂の真正面に祀られています。ところがこのお寺は開祖が正面に安座しており、仏像は手前上方と右面上方、そして左正面にあります。仏堂に畳は一切なく、石畳の土間の形が取られていますが、禅寺で見かける座布団様のものも見当たりません。日頃のお参りは腰掛けてするのでしょうね。
仏堂の左面に安座している観音像が立て膝で坐っており、珍しくて思わず写真に撮りましたが、あとでパンフレットがわりにいただいた非常に簡素なチラシを読むと、「やまと坐りの観音」とのことです。受け付けのおじさん曰く、「お寺の住職さんは変わった方」だそうで、お寺中どこにも何の説明書きもなくて戸惑いましたが、桜と紅葉を無心に眺めるという意味では素晴しいお寺だと思います。
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